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システム保守開発とは?主な内容や作業、重要性などをわかりやすく解説

  • ソフトウェア開発
  • 2025年8月31日

システムは変化する環境に柔軟に対応する必要があります。しかし、システム開発に比べて、システムの安定稼働や機能改善を担う、保守開発の重要性が見過ごされてしまうケースは少なくありません。

とはいえ、保守開発は、事業継続性の確保、セキュリティリスクの低減、そして競争力維持のために不可欠な活動です。

この記事では、システム保守開発とは何かという基本的な定義から、具体的な内容、その重要性、体制構築のポイントまで、システムを活用するすべての企業担当者が知っておきたい情報を網羅的に解説します。

私たち一般社団法人日本ニアショア開発推進機構(ニアショア機構)は、首都圏を中心とした発注企業と地方にある開発会社をつなげる「Teleworks」を運営しています。小規模案件にも対応しており、コストを抑えながら高品質のシステムをこれまで数多く提供してきました。テレワーク普及に伴い累計受注額は増加中で、500件以上にわたる開発のご相談に対応していきています。

なお、国外ではなく地方で安全にシステム開発および運用をしたい企業様は、当社ニアショア機構の「Teleworks」にご相談ください。「Teleworks」は大手企業からの依頼が多く、専属の担当者がついて伴走しシステム保守開発を成功へと導きます。打ち合わせにも当社ニアショアの担当者が同席して、案件が決定するまで徹底サポートするところが魅力です。

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システム保守開発とは?

システム保守開発とは、稼働中の既存システムに対しておこなわれる、機能の維持および向上を目的とした活動全般を指します。

これには、発見された不具合の修正、法改正や環境変化への対応、パフォーマンス改善、ビジネス要件の変化に伴う機能追加や改修などが含まれます。

システムは一度開発すれば終わりではなく、時の経過や外部環境の変化、利用状況に応じて変更が必要になります。保守開発は、システムを常に最適な状態に保ち、企業活動を支え続けるために不可欠な活動です。

システム保守開発の主な内容

システム保守開発と一括りにいっても、その目的や性質によっていくつかの種類に分類されます。ここでは、代表的な保守活動について、それぞれの役割と目的を解説します。

運用オペレーション

運用オペレーションとは、業務やシステムを止めないための日次・常時の定常作業のことです。各種レポートの作成や死活監視、パフォーマンス監視などに関した作業をおこないます。さらに、権限・アカウント管理のほか、問い合わせやアラートの一次対応をおこないます。

保守(メンテナンス)

保守(メンテナンス)とは、障害対応やセキュリティアップデートなど、現状を維持管理する作業のことです。不具合修正のほか、プログラミング言語やミドルウェアのバージョンアップ、ハードウェアの更新を計画的におこないます。

改善(エンハンス)

システムのUI/UXの改善のほか、性能向上や新機能追加、コスト最適化をおこない、システムをより良くする作業のことです。「保守開発」と表現されることもあります。リファクタリングやテスト、リリースの自動化により効率化やアーキテクチャの改善、セキュリティの強化などをおこないます。

システム保守開発の主な作業

現場では、インフラとアプリケーションで分かれますが、システム保守開発の主な作業としては、以下のようなものがあります。

  • データベースのパフォーマンスチューニング
  • サーバーやネットワーク構成の変更に伴うシステム改修
  • 新たなレポート機能やデータ分析機能の追加
  • 古いプログラミング言語やフレームワークの新しいバージョンへの移行
  • セキュリティパッチの適用や設定の見直し
  • 障害発生時の原因特定と恒久対策の実装

その他、「システムの監視機能やアラート設定の強化」や「UI/UXの改善」が保守開発に含まれることもあります。

ただし、「システムの監視機能やアラート設定の強化」は、同じシステム保守開発の中でも違う分野として扱われることが多くなっています。具体的には、夜中にサーバーに異変があれば検知および対応する部署です。これは、通常の保守開発と区別して依頼することが多くなっています。

また、「UI/UXの改善」は、システム保守開発に含まれないこともありますが、アプリケーション保守の場合は、実際の利用者から意見をもらいながら開発することがあり、それは「保守開発」と呼ばれます。

これらの活動は、システムの特性や企業の状況によって優先順位や実施頻度が異なりますが、システムを長期にわたって活用するためにはすべてが重要です。

システム保守開発の重要性

システム保守開発は、新たな機能の開発に比べて、重要性が軽視されがちです。しかし、システムが企業のビジネスに深く組み込まれている現代において、保守開発はまさに生命線と言えます。

その重要性を正しく理解し、必要なリソースを投じることは、将来の大きなリスクを回避するための戦略的な投資です。ここからはシステム保守開発の重要性を解説します。

事業継続性の確保

現代のビジネスにおいて、システムの停止は即座に事業の停止を意味することもあります。システム障害は、受発注業務の停止による直接的な売上機会の損失、生産ラインの停止による生産性の低下、そして顧客からの信頼失墜に直結するためです。

是正保守による迅速なバグ修正や、予防保守による障害の未然防止は、システムを安定的に稼働させ、あらゆる不測の事態から事業活動を守り、その継続性を確実なものにするための重要な基盤です。

セキュリティリスクの低減

サイバー攻撃の手法は日々巧妙化・悪質化しており、企業規模を問わず常にその脅威に晒されています。

特に、システムの脆弱性を放置することは、攻撃者に対して無防備な状態を晒すことと同義です。

OSやミドルウェアのセキュリティパッチの適用や、潜在的な脆弱性への対応などは、顧客情報や機密情報の漏洩、ランサムウェアによる事業妨害といった重大なセキュリティインシデントから企業を守るために不可欠な防衛策です。

変化する事業環境や法規制への迅速な対応

ビジネスを取り巻く環境は、かつてないスピードで変化し続けています。市場のニーズ、競合の動向、働き方の多様化など、ビジネスプロセスの変更は常に発生します。

また、個人情報保護法や電子帳簿保存法といった法改正、業界標準の変更など、外部からの要請に対応する必要もあります。

保守開発を通じてシステムをこれらの変化に迅速に適応させることは、コンプライアンスを遵守し、企業の競争力を維持および強化するためにとても重要です。

システムの陳腐化防止と寿命延長

あらゆるシステムは、構築した瞬間から技術的な陳腐化が始まります。

最新の技術動向を取り入れたアーキテクチャの見直しや、パフォーマンス改善を含む保守開発は、システムの陳腐化を防ぎ、長期にわたって活用可能な状態を維持します。

これにより、数年ごとに発生する高額な新規システム開発(リプレース)の頻度を減らし、システムのTCO(総所有コスト)を最適化することにもつながります。

技術的負債の蓄積抑制

開発時に時間的な制約などから不適切なコードや場当たり的な設計を放置してしまうと、それは「技術的負債」としてシステム内部に蓄積されていきます。

この負債は、将来の改修コストを雪だるま式に増加させるだけでなく、改修期間の長期化や、予期せぬ不具合の温床となります。

計画的なリファクタリングやアーキテクチャ改善といった保守開発は、この技術的負債の増大を防ぎ、システムの保守性を高く維持することで、未来の開発生産性を守るための重要な活動です。

システム保守開発を怠った場合に発生しうるリスク

これまで保守開発の重要性について解説してきましたが、反対にこれらを怠ると、企業はどのような事態に直面するのでしょうか。

保守開発への投資を怠ることは、目先のコスト削減にはつながるかもしれませんが、長期的にはそれを遥かに上回る深刻なリスクを抱え込むことになります。ここからは、システム保守開発を怠った場合に発生しうるリスクをお伝えします。

システム障害の多発

バグが放置され、環境変化に対応できないシステムは、予期せぬタイミングで障害が発生しやすくなります。これは業務停止だけでなく、復旧にも多大なコストと時間を要します。

重大なセキュリティインシデント

未対応の脆弱性を突かれ、情報漏洩やシステム破壊、マルウェア感染といった深刻なセキュリティ侵害が発生するリスクが高まります。企業の信頼失墜や損害賠償問題に発展する可能性もあります。

法規制違反

法改正に対応しないままシステムを運用し続けると、法令違反となる可能性があります。これにより、罰則や業務停止命令を受けることもあり得ます。

技術的負債の増大とブラックボックス化

システム保守開発を長期間おこなわないと、システム構造が複雑化し、誰も全体像を把握できない「ブラックボックス化」となります。将来、やむを得ず改修が必要になった際に、莫大なコストがかかるか、そもそも改修が不可能になるリスクがあります。

ベンダーサポート終了と維持不能

使用しているOS、ミドルウェア、開発言語などのベンダーサポートが終了すると、セキュリティリスクが高まるだけでなく、不具合発生時の対応が極めて困難になります。

システム保守開発費用の主な構成要素と算出方法

システム維持にかかる費用は、大きく分けると「運用保守契約費用」と「保守開発費用(改修費用)」の2つがあります。それぞれの費用について詳しく解説します。

運用保守契約費用

運用保守契約費用は、主にシステムの安定稼働を維持するための費用で、月額または年額の固定費となるケースが多いです。

サーバー・ネットワーク維持費、ミドルウェアライセンス費、システムの監視、一次対応、定期的なバックアップなどが含まれます。

契約内容によって変動費(例:問い合わせ件数に応じた課金)が含まれる場合もあります。費用は、一般的にシステム開発費用の〇〇%(例:10%〜20%)といった形で算出されることがありますが、これはあくまで目安であり、システム特性によって大きく異なります。

保守開発費用(改修費用)

保守開発費用(改修費用)は、既存システムへの変更(バグ修正、機能追加、環境対応など)をおこなうための開発作業にかかる費用です。

運用保守契約の範囲外で、個別に見積もり、契約されるケースが多いです。

費用は主に作業を行うエンジニアの「工数(人月または人日)×単価」で算出されます。作業の難易度、必要なスキル、担当者の経験などによって単価は変動します。

費用の見積もりポイント

保守開発における改修費用の見積もりは、新規開発以上に難易度が高い場合があります。これは、既存システムの内部構造や他の機能への影響が不透明な場合があるためです。

適正な見積もりを得るためには、いくつかの点が重要となります。

まず、どのような機能を、どのように変更および追加したいのか、改修範囲や内容を可能な限り具体的に要件として定義することです。

次に、その変更がシステム全体のどこに影響を与える可能性があるのか、事前に影響範囲を調査および分析することも欠かせません。この調査自体にも工数がかかる場合があることを理解しておく必要があります。また、技術的な難易度も見積もりに影響します。

例えば、難解な既存コードの解析が必要か、新しい技術の導入が必要かなどが考慮されます。システム設計書や仕様書が整備されているかといったドキュメントの有無と品質も非常に重要です。

ドキュメントが十分であればシステム理解にかかる工数が削減されますが、不十分な場合は解析工数が見積もりに上乗せされることを想定しなければなりません。

さらに、変更内容の確認だけでなく、既存機能への影響がないかを確認する回帰テストの工数も考慮が必要ですし、進捗管理や品質管理、コミュニケーションなどにかかるプロジェクト管理費も含まれます。

見積もりを依頼する際は、これらの要素を可能な限り正確に伝えることが、適切な費用算出に繋がります。複数のベンダーから見積もりを取り、内容を比較検討することも重要です。

システム保守開発の外注先を選ぶときのポイント

信頼できる保守開発のパートナー、つまり外注先を選ぶことは、プロジェクトの成否を左右する重要な要素のひとつです。

コストだけで判断するのではなく、多角的な視点から評価し、長期的な関係を築ける相手を見極めることが求められます。ここからは、システム保守開発の外注先を選ぶときのポイントを解説します。

技術力や保守力があるか

まず、保守対象システムと同等あるいは類似の技術スタックやドメイン知識を持つかを確認することが重要です。

貴社システムと同じ、または類似した技術(開発言語、データベース、フレームワークなど)での開発・保守実績があるか、また、貴社業界の業務知識を理解できるかを評価します。

組織として安定感がある

次に、個人のスキルに依存するのではなく、組織として安定した技術者層を抱え、教育体制が整っているかを確認することも不可欠です。

これにより、担当者の離職リスクや技術レベルのばらつきによる品質低下を防ぐことができます。例えば、特定の技術に精通した正社員エンジニアが多数在籍しているかなどが指標となります。

コミュニケーションは円滑か

コミュニケーション能力と報連相の体制も、特にテレワークでの開発においては非常に重要であり、定期的な報告や相談しやすい雰囲気、問題発生時の迅速な連携ができるかを確認します。

外注先が遠隔地(ニアショアなど)の場合でも、リモートでのコミュニケーションツール活用や定例会議の設定など、円滑な情報共有のための体制が整っているかと問題なくプロジェクトを進められます。

品質は保証されているか

システムの変更を適切に管理し、高い品質を保証するための開発プロセスが標準化されているかも確認すべき重要な点です。

具体的には、要件変更を管理する手順、テスト計画の策定と実施、ソースコードのバージョン管理などがルールとして整備および運用されているか、といった点に着目します。プロフェッショナルな仕事ぶりは、こうした規律あるプロセスに現れます。

セキュリティ対策ができるか

企業の重要資産であるシステムとデータを預ける以上、強固なセキュリティ体制は必須条件です。

貴社のセキュリティポリシーや業界の規制(例えば、金融業界のFISCなど)に対応できるか、また、ISMS(ISO27001)やプライバシーマークといった第三者認証を取得しているかなど、客観的な指標も参考にしながら、セキュリティ対策が十分かを確認します。

評判や実績がよいか

実績や評判も重要な判断材料です。同規模・同種のシステム保守開発の実績があるか、過去の取引先からの評判はどうかを確認し、大手企業との取引実績があれば、信頼性のひとつの指標となります。

状況や予算に合わせて柔軟に対応できるか

貴社の状況や予算に合わせて、小規模な改修からスタートできるか、必要な時にリソースを増やせるかなど、柔軟な契約形態に対応できるかも確認します。

例えば、小規模な開発案件から依頼できるか、月額単価や体制を柔軟に調整できるかなどが挙げられます。

システム保守開発で発注側が準備すべきこと

外注を成功させるためには、依頼する側である貴社の準備も重要です。まず、どこからどこまでを外注するのか、具体的な改修内容は何なのかを可能な限り詳細に定義し、保守範囲および内容を明確にしましょう。

次に、可能であれば、システム設計書、仕様書、インターフェース定義書など、既存システムに関するドキュメントを最新の状態に整備することも重要です。ドキュメントが不十分な場合は、その旨を正直に伝え、現行システム解析の費用も含めて見積もりを依頼することを検討します。

そして、外注先からの提案や見積もりに対する社内承認プロセスを事前に確認しておき、迅速な意思決定ができるようにしておくことも大切です。

システム保守開発を依頼するなら「ニアショア機構」へ

この記事では、システム保守開発の基本的な定義から、その具体的な内容、不可欠な理由、そして体制構築のポイントまでを解説しました。

システムの保守開発は、単なるIT部門のタスクではなく、企業の事業継続性、セキュリティ、そして変化への適応力を左右する経営課題です。これをコストではなく、未来への投資として捉え、適切な体制とリソースを確保することが、企業の持続的な成長には不可欠です。

保守開発の外注先を選ぶ際には、単なるコストだけでなく、技術力、実績、コミュニケーション能力、そして安定した組織体制を持つパートナーを見つけることが成功の鍵となります。

ホームページを見ても技術力や実績などの情報がわかりづらいことも少なくありません。ただし、当社ニアショア機構の場合、地方に点在する提携各システム開発会社の細かい得意領域まで熟知しているため、貴社のニーズに合致した適切なところをご紹介できます。この点は、かつて契約を結んでいただいたお客様からも高評価をいただいております。

もし、貴社システムの保守開発体制構築にお悩みでしたら、豊富な実績と質の高い開発リソースを持つ私たち「一般社団法人日本ニアショア開発推進機構(ニアショア機構)」にご相談ください。アウトソースを活用した柔軟かつ安定的な保守開発体制の実現を、経験豊富な専門家がお手伝いさせていただきます。

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