「うちのシステム、そろそろ機能を追加したいんだけど、これって新規開発?それとも改修?」「『エンハンス開発』ってよく聞くけど、具体的に何をやるんだろう?」企業のシステム担当者の皆様は、このような疑問や課題をお持ちではないでしょうか。
システムは一度作ったら終わりではなく、ビジネス環境の変化や技術の進化に合わせて常に手を加えていく必要があります。しかし、その「手直し」が具体的に何を指すのか、どのような進め方があるのか、意外と整理できていないことも多いかもしれません。
本記事では、システム開発における「エンハンス開発」に焦点を当て、その正確な意味、新規開発や運用、保守(メンテナンス)との違い、具体的な業務内容、大手企業がエンハンス開発を成功するための進め方や注意点などをわかりやすく解説します。
私たち「一般社団法人日本ニアショア開発推進機構(ニアショア機構)」は、首都圏を中心とした発注企業と地方にあるシステム会社をつなげる「Teleworks」を運営しています。
小規模案件も得意としており、地方企業との連携により、コストを抑えながら高品質のシステムを開発することができ、これまで500件以上提供してきました。
海外ではなく国内の地方で安全にエンハンス開発をしたい企業様は、当社ニアショア機構が提供する「Teleworks」の詳細をご確認ください。貴社(依頼者)とシステム開発会社の双方にとってベストなマッチングを実現します。
まず、「エンハンス開発」という言葉が持つ意味と、なぜそれが必要とされるのかを明確に理解しましょう。エンハンス(Enhance)とは「向上させる」「強化する」「高める」といった意味を持つ英単語です。
システム開発におけるエンハンス開発とは、システムのUI/UX改善のほか、性能向上や新機能追加、コスト最適化などをおこない、システムをより良くする作業のことです。リファクタリングやテキスト、リソースの自動化による効率化やアーキテクチャの改善、セキュリティの強化などをおこないます。「保守開発」と表現される場合もあります。
その主な目的は、以下のような点が挙げられます。
つまり、エンハンス開発は、新規にゼロからシステムを構築するのではなく、既に存在するシステムをより良くするための改善や強化に焦点を当てた開発活動です。
新規開発は、文字通りゼロから新しいシステムを設計および構築する活動です。ビジネスニーズや課題に対して、既存システムがない場合、あるいは既存システムでは対応できない場合に選択されます。
一方、エンハンス開発は既存システムをベースに機能追加や改善をおこなう活動であり、既に稼働しているシステムが前提となります。
運用は、システムを日々安定的に稼働させ続けるための日常的な業務です。具体的には、システムや機器の監視、バックアップ、定型的なオペレーション、ユーザーからの問い合わせ対応(ヘルプデスク)などが含まれます。
運用はシステムの維持活動であり、基本的にシステムの仕様変更は伴いません。エンハンス開発は機能や性能に変更を加えます。
保守(メンテナンス)は、障害対応やセキュリティアップデートなど、現状を維持管理する作業です。不具合修正のほか、プログラム言語、ミドルウェアのバージョンアップ、およびハードウェアの更新を計画的におこないます。
ただし、広義の保守には、システムの変更を伴う適応保守(法改正対応など)や完全保守(性能改善や信頼性向上)が含まれることもあり、この部分がエンハンス開発と重なるケースもあります。
一般的には、明確な機能追加や性能向上を伴うものがエンハンス開発、不具合修正や環境変化対応などが保守と区別されます。
エンハンス開発には、システムの価値を高めるための多岐にわたる業務が含まれます。ここでは、その代表的な業務内容をいくつかご紹介します。
新しいビジネス要件や市場のニーズに対応するため、システムに新たな機能を追加したり、既存の機能の適用範囲を広げたり、より便利に改善します。
システムの応答速度の向上や、夜間バッチ処理時間の短縮など、パフォーマンスに関する改善をおこないます。これにより、ユーザー体験の向上や業務効率化に直接貢献します。
画面デザインの変更や操作手順の簡略化、入力フォームの改善など、ユーザーにとっての使いやすさ(ユーザビリティ)や心地よい利用体験(UX)を向上させるための改善です。
新たに発見された脆弱性への対応策の組み込みや、認証機能の強化(多要素認証の導入など)、アクセス制御の見直しなど、システムのセキュリティレベルを高めるための改修です。
他の社内システムや外部のクラウドサービスとの連携機能を追加したり、既存の連携におけるデータ項目を拡張したりして、システム間のデータフローを円滑にします。
可用性(システムが停止しにくいこと)、保守性(メンテナンスしやすいこと)、拡張性(将来の機能追加が容易であること)といった、システムの品質に関わる非機能要件の向上を目指します。
使用しているライブラリやフレームワークを新しいバージョンに更新したり、より効率的でモダンな技術を導入したりすることを検討および実施します。
システムの外部的な振る舞い(機能)を変えることなく、内部のプログラムコードの構造を改善し、保守性や可読性を高める作業です。将来のエンハンス開発を容易にするための投資とも言えます。
システムのランニングコスト、特にインフラコストの削減を目的とした開発も重要です。オンプレミスからクラウドへの移行(マイグレーション)はその代表例で、ハードウェア費用やデータセンター維持費を削減します。
多くの部署や複雑なシステム構成を持つ大手企業でエンハンス開発をおこなう場合、特有の難しさや注意点があります。
これらを事前に把握し、対策を講じることが成功への鍵となります。円滑かつ確実にエンハンス開発を進めるためのポイントをお伝えします。
システムが長期にわたって使用されている場合、設計書(ドキュメントなど)が古いケースも少なくありません。そのため、設計書が最新になっているか確認しましょう。
次々と機能追加をおこなっており、当初の設計書にない機能が付いていることも自然なことです。それに合わせて設計書のアップデートも必要です。
エンハンス開発は既存システムに手を加えるため、そのシステムの構造、仕様、過去の改修履歴などを正確に理解していることが大前提です。
また、今回加える変更が、他の機能や連携システム、データベースなどにどのような影響を与えるのかを慎重に見極める必要があります。
影響調査が不十分だと、予期せぬ不具合(デグレード)が発生するリスクが高まります。
どのような機能を追加あるいは改善したいのか、そしてその目的は何なのか、要件を曖昧なまま進めるのではなく、関係者間で具体的に定義することが重要です。
また、複数の要望がある場合は、ビジネス上の重要度や緊急性、実現可能性などを考慮して優先順位を付け、開発の範囲(スコープ)を明確にすることで、プロジェクト期間やコストの無用な超過を防ぎます。
既存システムへの影響を最小限に抑え、品質を担保するためには、徹底的なテストが不可欠です。
新たに追加および変更した部分の機能テストはもちろんのこと、変更の影響を受けていないはずの既存機能が正しく動作し続けるかを確認する「回帰テスト(リグレッションテスト)」を網羅的に計画しましょう。
テスト自動化なども活用しながら、十分な時間をかけて実施する必要があります。
エンハンス開発は、実際にシステムを利用する業務部門、日々の運用を担う運用部門、関連する他システムの担当部門など、様々なステークホルダーが関わります。
定期的な進捗報告会や仕様確認のレビュー、懸念事項の共有など、関係者間で常に密にコミュニケーションを取り、共通認識を持って進めることが重要です。
特に大手企業様では関係者が多岐にわたるため、この合意形成のプロセスを丁寧に踏むことがプロジェクトの成否を分けます。
開発の途中で安易に仕様変更が発生すると、大きな手戻りやスケジュールの遅延に直結します。
やむを得ず変更が発生した場合は、その影響範囲、追加コスト、スケジュールへの影響を客観的に評価し、関係者全員の合意を得た上で、正式な手順を踏んで変更を管理する「変更管理プロセス」を徹底することが求められます。
自社のITリソースが不足している、より高度な専門知識が必要、あるいはコア業務に集中したいといった理由から、エンハンス開発を外部の専門会社に委託することを検討する大手企業は少なくありません。
本来、業務システムの維持は自社の社員でやることではないとされています。従来型業務に自社の社員を当てると、新しいDX業務等に人を回せず疎かになってしまうためです。昨今は、エンジニア採用が難しいため、社員の再配置が必要になっている現場もあるでしょう。
そのため、従来型・競争力の源泉でないところは、戦略的人的配置で外注を活用しましょう。この点は、エンハンス開発も同様です。
外部委託は、エンハンス開発を効率的かつ高品質に進めるための有効な手段です。そのメリット・デメリットをお伝えします。
エンハンス開発を外部に委託することには、以下のようなメリットが考えられます。
外部委託には、以下のようなデメリットもあります。
エンハンス開発の外部委託を検討されている企業の皆様にとって、信頼できるパートナー探しは重要な課題です。
私たち「一般社団法人日本ニアショア開発推進機構(ニアショア機構)」が運営する「Teleworks」は、その課題解決に貢献できる独自の価値を提供します。
Teleworksとは、首都圏のエンハンス発注企業様と、地方の優れたシステム開発会社様をつなぐプラットフォームのことです。そのTeleworksの5つの特徴をお伝えします。
地方には、都市部に引けを取らない高い技術力と豊富な経験を持つエンジニアが多数在籍しています。
Teleworksでは、地方の開発会社に所属する正社員エンジニア(累計8,000名以上)をご紹介しており、フリーランスへの委託とは異なり、組織としての安定した品質と継続的なサポートが期待できます。
地方の開発会社は、首都圏に比べて固定費を抑えられる構造を持っています。
Teleworksでは、エンハンス開発会社と直接契約いただくモデルのため、中間マージンを最小限に抑え、品質を維持しながらもコスト効率の良い開発を実現できる可能性が高くなっています。
「まずは特定の機能追加だけ」「〇ヶ月だけスポットで」といった、小規模からのエンハンス開発にも柔軟に対応可能です。実際のところ、Teleworksにおける案件の大半が小規模からスタートしています。
大規模な組織改編や予算確保なしに、まずは特定の課題解決から始めたい、というニーズにお応えできます。
テレワークでの開発に習熟したエンハンス開発会社と連携しており、場所を選ばずに円滑なコミュニケーションと開発進行が可能です。
独自の教育プログラムにより、テレワークにおけるプロジェクトマネジメントやコミュニケーションの質を高めています。
テレワーク普及に伴い、累計受注額がどんどん増加して相談実績500件以上と、多くの大手企業様にご活用いただいている豊富な実績がございます。
長崎新聞、南日本新聞、岩手日報、北日本新聞など、多数のメディアでの紹介も、その活動の信頼性を示すものと考えております。
ビジネスが絶えず変化し続ける現代において、システムのエンハンス開発は、企業の競争力を維持および向上させるために不可欠な活動です。
エンハンス開発は単なる機能改修ではなく、既存システムの資産価値を高め、新しいビジネスチャンスを捉えるための重要な戦略的投資と言えるでしょう。
自社リソースの限界やコスト、品質といった課題をお持ちであれば、外部の専門家への委託が非常に有効な選択肢となります。その際は、ぜひ私たちニアショア機構が運営する「Teleworks」を選択肢のひとつとしてご検討ください。
地方の高品質な開発リソースを活用することで、貴社のエンハンス開発を、コスト効率よく、かつ信頼性の高い体制で力強くサポートいたします。
大切なシステムを常にビジネスにフィットした状態に保ち、継続的な成長を実現するお手伝いをいたしますので、ぜひ下記リンクからサービス内容をチェックしてください。
金融、ITベンチャーを経て株式会社パソナ(現)にて事業企画・実行に従事。大規模法人向け外注戦略を担うコンサルティング部門を企画設立し部門長。その後、IT調達分野のコンサルティング会社を設立し、セミナー・寄稿多数。外注戦略支援、コスト最適化、偽装請負是正では国内有数の実績を持ち、システム開発会社の再構築・再生も多数実行。2013年より「ニアショア活用による地方活性化で日本を再生する」ビジョンのもと、一般社団法人日本ニアショア開発推進機構を開始。