左:パワーソリューションズ 小林 美紅 様 左中:パワーソリューションズ 吉田 知優 様
右中:日本ニアショア開発推進機構 佐藤 広 右: パワーソリューションズ 山口 正利 様
株式会社パワーソリューションズ様は東京の九段下に本社を構えておられるシステムソリューションカンパニーです。多くの投信・投資顧問会社、証券会社、信託銀行などを顧客に抱え、それらクライアントが使う業務システムの改善、効率化、最適化を実現することで急成長を遂げ、東証グロース市場にも上場しておられます。
ただし、シビアかつニッチな領域だけに、常に開発者の人材不足に悩んでおられました。そこで、ニアショア開発を検討されたのですが、日本ニアショア開発推進機構にたどり着くまでにも紆余曲折があったのだとか。そのあたりのエピソードを含め、今回、マネージングディレクターの山口様を中心に、副主任コンサルタントの吉田様、小林様から詳しいお話を伺いました。
私たちパワーソリューションズは、主に投資金融業界のお客様に向けた基幹システムのシステム設計・開発、基盤構築、運用保守までを一貫で手掛けているIT企業です。投資金融業界といっても証券会社やアセットマネジメント(資産運用)各社、信託銀行などが存在しますが、当社のボリュームとして多いのがアセットマネジメント会社となります。
私たちは、それらクライアントが基幹システムを運用する中で『手が届きそうで届かない痒いところ』、つまり当社のミッションでもある「ラストワンマイル」を埋めるために存在しています。その中で、我々の部署は、私のようなMD(マネージングディレクター)を筆頭に、数人から数十名ほどのユニットを複数組み、そのユニット単位で各お客様を担当することで、スピード感と責任感をもって対応することをモットーとしています。
前職でもオフショア開発の経験がありますが、時差や言語の問題よりも、文化の違いで苦戦しました。文化の違いとは何かというと、日本の開発者に「100点のものを」と言うと、同じレベルのものをイメージできるのに対して、海外の開発者はあらかじめ「ここまで達して初めて100点になる」と伝えなければいけません。
つまり日本特有の曖昧さは通用しないので細かなルールを決めて、チェックリストを作って、それをまた細かくチェックして、と管理する側にも負担がかかってしまいます。そうした悩みもあって、一度ニアショア開発に挑戦してみようと考え、自分で調べたうえで2社ほど当たってみたのですが返事が来なかったり、1週間後だったり…。半ば諦めながらニアショア機構さんに問い合わせてみたところ、その日のうちに返信があり、その内容からも真摯さが伝わったので詳しい話を聞いてみたいと思いました。
面談の際に、ニアショア機構さんには「VB.NET(Visual Basic NET)扱える開発者の単価を教えて欲しい」や「半年や数か月といった期間でも契約できるのか」、「来月からでもお願いできるか」、「小さな単位でもオーダーできるのか」など、かなり踏み込んだ質問をしました。
それに対して、しっかり回答してくれたうえで最終2社を紹介してくれました。その中から国の入札案件に携わった実績のある熊本のベンダーと面談をしたのですが、この会社なら大丈夫だと思いました。やはり担当してくれる開発者のスキルも重要ですが、それよりも気持ちよく一緒に働けそうか、という直感が大事だと思うのです。その直感を充分に満たしてくれる面談になったからです。
すでに社内でリモートワークが浸透している環境だったため、熊本にいる開発者にシステム制作を依頼することについても抵抗はありませんでした。最初は設計書に従い制作してもらったり、修正してもらったりという限定的な依頼に留めていましたが、それらをクリアするうちに、本当のチームとしてもっと上流の工程から一緒に携わってもらうようになり現在に至っています。
最初は1名で結んだ契約も、現在では3名にまで増えました。基本的には案件単位の契約になるため、1つの案件が終われば契約を終えることもできますが、次々他の案件をお願いしながら継続している状況です。そのあたりの交渉もニアショア機構さんを通さず、自分たちで行える点も非常に助かります。社内からは派遣社員でも良いのでは?という声もありましたが、全く違います。地方企業の従業員の方が会社への帰属意識が高いため、安定した稼働が期待でき、仕事を依頼しやすいのです。
また、何より地方のベンダーとニアショア開発に取り組むメリットは、やはり東京近郊のベンダーと比べてコストを抑えられることでしょう。感覚的には2割から3割は安価だと思います。
一方あえてデメリットを上げるとすれば、お客様の現場に常駐してもらっての作業をお願いできない点があげられます。金融関係のシステムは社外秘の案件が多いため、現場での常駐を望まれるのですが、そうした案件は自社で対応するほかありません。その点がなかなか他の部署にニアショア開発を勧めることができないネックになっています。しかし、そうした障壁がないのであれば、これから先、ニアショア開発を活用しない手は無いと思いますね。
現在、当社もRPA関連サービスのより積極的な事業拡大に取り組むとともに、海外マーケットでSaaSを用いた事業を展開しているオーストラリアのSazae社や、ウルグアイ発祥の開発ツール「GeneXus」の使用に長けたINNOVATIVE SOLUTIONS社と資本業務提携を結ぶなど、これまでにはない新しい領域を切り拓こうと挑戦を続けています。
これまで以上にニアショア開発にも力を入れるでしょうし、そうなると必然的にニアショア機構さんに寄せる期待も大きくなります。私たち企業が自分たちで集めるよりも想像以上の情報が集まるでしょうし、また違う角度からの提案にも期待しています。定期的に発行されているレポートにも目を通して、有益な情報があれば、また新しい相談につなげたいと思っています。
山口様、吉田様、小林様、ありがとうございました。